「税金を払いたくない」のレベルの違い

税金払いたくない
自営業者にありがちな話。
税金を払いたくないから節税しているという。

不動産業なので、家を買いたいという方のご相談に乗っていると、必ずどの程度の住宅ローンが組めるか?という話がでます。
その時に、確定申告書を見せていただくのですが、「それはないよな」というレベルの確定申告書をたくさん見ます。

指摘すると、「いや~税金もったいないので節税しています」と照れ臭そうにおっしゃいます。

しかし、そのほとんどは節税ではなく脱税です。
脱税は大きく分けて、売り上げ除外経費水増しです。

売上げ除外の代表例は、消費税を払いたくないから。
1,000万の売り上げを超えると消費税の課税対象となります。
従って、1,000万以下の売り上げであれば顧客から消費税をとっても実際の消費税納付の義務はなくなります。

どうしても消費税を払いたくない事業者が売り上げを過小に申告することが横行しているのです。

これは消費税の話。

所得税を払いたくない事業者はどうするか?
売上げ除外もそうですが、経費の水増し申告が常套手段。

使ってもいない経費を経費として申告するのです。
この売上げ除外、経費水増しの根本的な原因は、確定申告をする際裏付けとなる伝票の添付が義務付けされていないことです。

端的に言えば、経費の額は適当な金額で申告ができるのです。
これは、確定申告システムの決定的な欠陥です。

もちろん、税務調査が入れば帳簿や領収書、請求書などの裏付け資料を求められるので真実が判明しますが、逆に言えば税務調査さえ入らなければOK的な雰囲気が蔓延しているのです。

私が見た確定申告書なかでひどいものは、4人家族で収入(売上げ)998万、経費828万、所得170万という方がいました。

家族4人で170万円の所得で一体どうやって生活するのか?
あり得ませんよね。

中でも家賃を事務所経費として計上していたことです。
家族4人が住むアパートの家賃95,000円の内、90%、85,500円を経費計上しているのです。

事務所が90%で残りの10%が家族4人の生活スペース。
あり得ません。

ちっとも節税ではありません。明らかに脱税です。

私は節税は良いと思います。
国が認めたものですからね。節税は知恵の結果です。

しかし、、脱税はダメです。
そもそも税金は、国の経営に使う原資です。

犯罪が多い昨今ですが、それでも日本は世界有数の安全な国です。
国防、外交も含めた国の運営コストは税金から捻出されているのです。

小さな話で言えば、毎日使う道路。
道路を作るお金も街灯の電気代も税金です。

泥棒が入った時に連絡する警察も、急病の時に連絡する救急車も全部税金です。

もし、国民全員が脱税をして税金を払わなくなってしまったらどうなるのか?
自分だけなら脱税してもいいというのは、極めて自分勝手な言い分です。

税金がモッタイナイという気持ちは理解できますが、だからといって脱税をするのは理解できません。

最近個人の事業者にも税務調査が入っていると聞きます。
脱税が発覚するとそれ相応のペナルティーを科せられます。
自業自得という感情しか浮かびません。

残念ながら「税金払いたくないのレベルが低い」と思います。

確かに税金は少ないほうが嬉しいです。
しかし、私はできるだけ多く課税される稼ぎを目指し、合法的な方法でできるだけ多くの節税をする。
このレベルの税金払いたくない。自分でいたいと思います。

自分の払った税金でこの道路がある。
自分の払った税金で地域の安全が守られている。
そういう価値観で税金をとらえてみてはどうでしょうか。

税金は払う価値がある日本国運営コストです。
※私は税務署関係者ではありません(笑)